同じ作家さんの本は良く読みますが、2度目の感想を書くのは稲垣さんが始めて。
面白かったし、参考になります、年も近いし。
本の概要
昔ピアノを習っていた稲垣さんが、雑誌の企画で提案したことからプロのピアニストからレッスンを受ける。
しかも、自宅にピアノはなく営業時間外のお店のピアノを借りて練習するという無謀さ。
旅先ではピアノを借りれる場所を借りてまで練習する。
最後には演奏会に出てピアノを弾くことになります。
先生の前で「キラキラ星」を演奏した後に、先生がピアノを弾いて言う
「もっと、歌ってもいいんじゃないですか」
(中略)具体的にどういうことなんでしょうと尋ねると、
「自分でどう弾きたいかということです」
稲垣さんと困惑がわかります、譜面通りに正確に弾くことが大切と普通は考えますが、
ピアノが歌う(比喩)とはどういうことかと実際に言われたら途方に暮れる。
弾きたいように弾ければいいが、思うと実行するには長い距離があるのでしょう。
楽譜とは、作曲家の残した「宝の地図」なのだ。
本以上に音楽は昔の人の作品に触れることが出来る、クラシック音楽を聴くのは好きです。
有名なピアニストのベートベン、ショパン、ラフマニノフ、バッハ、モーツァルト等は昔の時代の人。
今も誰でもが聞いたことのある曲を演奏されている、すごい事ですね。
動かぬ体、働かぬ脳
毎日2時間以上練習している稲垣さんの指に痛みがはしる。
手を傷めずにピアノを弾く方法を調べると間違った体の使い方を直す必要があることに気付く。
「筋肉を緊張させたまま演奏すること」が「痛みや故障へと発展する」のだと。
その後に力を抜くことに苦労し悪戦苦闘されます。
私はピアノを週に1~2回しか弾かない人なので、ピアノで指を痛めることはない。
だが、この話を読んで思い当たる現象がある。
長時間かつ長期間(1ケ月以上)パソコンを使用して作業をすると指の関節が痛くなる。
30年以上気が付かなかったが、間違った指の使い方をしていたのではないのだろうか。
昔のパソコンはキーボードの反応が悪かったので、強めに叩く癖があることは知っていた。
しかし、指が痛くなっても水で冷やすか資料の調査等の負担が少ない作業をして仕事を続行していた。
本当に今更ですが、力を抜いて正しい使い方を考えよう。
脳の衰えと耳の衰えを感じた稲垣さんはまだやっていないことがたくさんあることに気付く。
衰えていくものを受け入れつつ、まだ使っていない自分の可能性を粘り強くトコトン掘り起こしていくことは、
たとえどれほど掘るスピードが遅くなろうが、チェレンジはいくらでもできる。
そうだよそれって、老いを生き抜くレッスンなんじゃないだろうか。
人生が下り坂に入ってきた今は、やっても出来ないことは増えてくる。
そんな状態でもやれることを考えてレッスンを勧める姿をまぶしく感じた。
結果ではなく姿勢が大切。
ピアノは脳にいいらしい
ピアノは脳にいい、そう聞いてピアノを始めた。
稲垣さんほど真面目ではなく、長期の出張中はピアノに触れないので全く練習しない。
ゲームをしても情熱がないことに気が付いたので、ピアノでもやってみるかと軽く考えた。
“SIMPLY PIANO”のアプリでピアノを触っている時は、まるで太鼓の達人で遊んでいる気分になる。
こんな感じですが、だらだらと2年間は続けているのでもう少し遊んでみよう。
ピアノに興味がなくても、老いに対する姿勢を学ぶことが出来ると思います。
作者の明るい性格もあり、楽しく読めるでしょう。
何気なく手に取った本でしたが、楽しい時間を過ごすことが出来た。
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